離婚の財産分与というと、「夫婦共有名義の財産を2人で分ける制度」と思われることがあります。
しかし、実際には、誰の名義になっているかだけで財産分与の対象が決まるわけではありません。
財産分与では、夫婦が婚姻中に協力して取得・維持した財産であるかどうかが重要になります。
例えば、婚姻中に夫の収入から貯蓄した預金が夫名義の口座に入っていたとしても、夫婦の協力によって形成された財産であれば、原則として財産分与の対象になります。
不動産についても同様で、夫単独名義の自宅だから夫だけの財産、ということにはなりません。
では、まだ実際に受け取っていない「退職金」はどうでしょうか。
退職金についても、将来受け取るものだから当然に財産分与の対象外になるわけではありません。
退職金には、これまで勤務してきたことに対する給与の後払いという性質があるため、婚姻中の勤務期間に対応する部分については、財産分与の対象となることがあります。
実務では、例えば別居時に自己都合退職したと仮定した場合の退職金額を確認し、そのうち婚姻期間に対応する部分を算定する方法などがとられます。
そのため、離婚時にまだ退職予定が先であっても、勤務先に退職金制度がある場合には確認が必要です。
生命保険や学資保険についても注意が必要です。
保険契約そのものを夫婦で半分にするわけではありませんが、積立型の生命保険などに解約返戻金がある場合には、その解約返戻金相当額が財産として評価され、財産分与の対象となることがあります。
また、「子どものための学資保険だから財産分与とは関係ない」とは限りません。
婚姻中の夫婦の収入から保険料を支払って積み立ててきた学資保険であれば、その解約返戻金が財産分与の対象として問題になることがあります。
このように、財産分与では、
「誰の名義になっているか」
「預金なのか、保険なのか、退職金なのか」
という形式だけで判断するのではなく、その財産がいつ、どのように形成されたものなのかを確認する必要があります。
なお、財産分与については、令和8年4月1日に法律が改正され、財産分与を請求できる期間がこれまでの2年から5年に延長されるなど、いくつか重要な変更がありました。
この法改正については、次回以降のブログで改めてご紹介したいと思います。
弁護士 市川哲宏
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