2026年6月24日水曜日

相続放棄は亡くなって3か月以上経ってから借金が判明した場合でもできるの?

相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。


そのため、


「父が亡くなってから半年後に、突然、消費者金融から請求書が届いた」

「亡くなった親とは長年疎遠で、借金があることを全く知らなかった」


という場合に、「もう3か月を過ぎているから、相続放棄はできないのでしょうか」と相談を受けることがあります。


しかし、亡くなってから3か月を過ぎているからといって、必ず相続放棄ができなくなるわけではありません。


民法上の3か月という期間は、単純に「死亡した日から3か月」と定められているわけではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から進行します。


さらに、最高裁判例では、被相続人に相続財産が全くないと信じ、そのように信じたことについて相当な理由がある場合には、相続財産の存在を認識した時などから3か月の期間を考えることができる場合があるとされています。


例えば、被相続人と長期間交流がなく、財産も借金もないと思っていたところ、死亡から相当期間が経過した後になって、初めて債権者から請求書が届いたようなケースです。


もっとも、「借金を知らなかった」と言えば必ず相続放棄が認められるわけではありません。


被相続人との関係、死亡を知った時期、財産についてどの程度把握していたか、なぜそれまで借金の存在を知らなかったのか、借金を知った経緯など、個別の事情によって判断されます。


そのため、3か月を過ぎた後に借金が判明した場合には、債権者から届いた請求書や通知書を捨てずに保管し、「いつ、どのような経緯で借金を知ったのか」を整理しておくことが重要です。


なお、まだ3か月の期間内であるものの、相続財産や借金の全容が分からず、相続するか放棄するかを判断できない場合には、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てる方法もあります。いわゆる「熟慮期間の伸長」です。


これは、相続財産を調査するために、3か月という期間を延ばしてもらう手続です。


相続放棄は、期限を過ぎたように見える場合でも、事情によっては認められる余地があります。


「3か月を過ぎてしまったから無理だ」と自己判断せず、特に死亡後しばらく経ってから突然借金の請求を受けた場合には、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。


弁護士 市川哲宏

0 件のコメント:

コメントを投稿