司法において正義の考え方には「実体的正義」と「手続的正義」の2つがあります。
「実体的正義」とは、結果自体に正当性があるかどうか、「絶対的に正しい結果かどうか」。
「手続的正義」とは、結果に至る過程・プロセスを重視しそれをもって、正しい結果とみなす、という考え方、「適正な手続きに則って判断されたかどうか」。
安倍元首相の国葬が、国会の審議や明確な根拠のある法律ではなく、法的根拠が曖昧な閣議で決定されました。
官房長官はその法的根拠について内閣府設置法4条第3項、内閣府がつかさどる業務として「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」をあげました。
しかし、同法は、内閣府がその列挙された事務をつかさどる(取り扱う、担当する)と書かれているだけで、国葬の法的根拠にはなりません。
閣議で国葬が決定できるとなると、例えば菅元首相が亡くなったら?野田元首相が亡くなったら?など、国葬される人とされない人はその時々の内閣の意向で決まってしまいます。
私達はそのような恣意的な判断をしない、させないために、国会で法律を定め、その定められた法律に基づいて政治が行われるように決めました。
正義とは多義的で、立場によって、変わります。
そうならないようにするために、手続的正義が求められます。
今回の国葬が決定された過程にはたして手続的正義はあるのでしょうか。
弁護士吉田光利
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